ジョジュと陸のネタバレ叙述トリック

あくまで個人的見解です。

冒頭モノローグ

私の名前は阿笠ジョジュ。数年前肉親を殺されて以来その手掛かりを追っている。
この子は陸。頼りないけど私の相棒で殺人現場をこの世のものではない不思議な力で嗅ぎ分ける。
私たち姉妹はいつも一緒。ちょっと後出しの私たちだけど真実はいつも私…

母から電話

肉親は殺されているが少なくともそれは母ではない
「この世のものではない」「不思議な力」
全体の謎へのヒント

事件現場

陸(ここここ、ジョジュ今度こそ事件だよ)
ジョジュ「確かに紛れもなく事件ね」
疋田刑事「おい、何なんだね君は。いつも勝手に来るけどさぁ。これは生徒手帳なの。見せられても困るの」
陸(ジョジュ、この人すごく怒ってる)
ジョジュ「わかってる。だけどこの謎は解かなきゃいけない」
疋田刑事「誰と喋ってんの?」

ここではさらっと触れられるが疋田刑事には陸が見えていない
視聴者には見えている

ジョジュ「これが被害者ね」
陸(うーん、一見自殺に見えるけど)
ジョジュ「服毒自殺。確かにそう見える。この瓶が毒薬だったらの話ね」
陸(違うの?)
ジョジュ「見ての通り、海苔の佃煮。そしてほら、ごはんがよそってある。これは服毒自殺じゃあない」
疋田刑事「どう見てもそうだろ。飯食ってる時に殺されたんだよ」
陸(見てジョジュ。ここにバットがある)
ジョジュ「バット!」
疋田刑事「聞けよ」
陸(凶器はこれだよ。このバットで思い切り殴られたんだよ)
ジョジュ「確かにその可能性はゼロじゃない。だけどこのバットで人は殴れない」
陸(何で?)
ジョジュ「料理用のバットだから。殴ったら天ぷらが散らばってしまう」
陸(野球のバットじゃないしね)
疋田刑事「確かにこれもバットて言うけど、これで人殺せないだろ。天ぷら食ってたんだよ」

バット=凶器というイメージによるミスリードを使った小ネタ

陸(だとするとやっぱり)
ジョジュ「被害者はきっと刺されたんだと思う」
疋田刑事「どう見てもそうだろ。ほら包丁が刺さってるし血いっぱい出てるし」
ジョジュ「被害者はご飯時に刺されたのよ」
疋田刑事「帰ってくんない?」
陸(強盗かな?それか無差別殺人?)
ジョジュ「いいえ、犯人は息子。」
陸(どうしてわかるの?)
ジョジュ「書いてあるもの」
陸(確かに!)
ジョジュ「ダイイングメッセージ。犯人は息子」
疋田刑事「時間かかったねぇ。ずっと見えてたけどねぇ」

本来ずっと見えてるはずのものでも画面に映らないと視聴者には情報が提示されない。
後の映像叙述トリックへのヒント

息子登場

孝太「言っときますが僕じゃありませんから」
ジョジュ「あなたは?」
孝太「息子の孝太です。父は僕が殺したと書き残してるようですがそんなものは真犯人によるミスリードに過ぎない。実の息子である僕は父を殺すはずはないし、第一僕にはアリバイがある」
陸(アリバイ?)
孝太「父が殺された時間、僕は会社で働いていました。同僚が証言してくれるはずです」
疋田刑事「あのさぁ、やったんだろ。すげえ犯人っぽいこと言ってるし、父親と仲悪かったって聞いてるよ」
孝大「心外だなぁ。ですから僕にはアリバイがあります。会社終わりにジムに寄ってたんです。インストラクターに聞いてみてくださいよ」
疋田刑事「だからそれはアリバイにならないの。だってね…」
考太「いいですか。行きつけのバーに僕立ち寄ってるんですよ。マスターに聞けば顔覚えられてますから」
疋田刑事「自信があるようだけど君のそのアリバイは成立しないの。いい…」

息子の「会社→ジム→バー」のアリバイは成立しそうだが…
カメラアングルによる映像叙述トリック。立ち位置とネクタイが異なる

ジョジュ「ちょっと待ってください!犯人は母親、という可能性は考えられないでしょうか」
疋田刑事「どういう事?」
ジョジュ「つまり、息子さんではなく被害者の奥さんだとしたら」
陸(ジョジュ、それは有り得ないわ)
ジョジュ「どうして?」
陸(だって奥さんは既に殺されてるもの)
ジョジュ「確かにそうね」
陸(しかもダイイングメッセージもあるし)
ジョジュ「犯人はぜったい息子」
疋田刑事「だから、ぜったいに息子なんだよ。両親が書いてんだよ」
孝太「ですから、その根拠を示していただきたい」
疋田刑事「共犯だよ。一人じゃないだろ。共犯なら余裕だろ」
孝太「きょ、共犯?」
陸(やっぱりそう。真実ははじめから見えてたんだよ)

可能性の提示・検証・否定からの結論というミステリーにありがちな流れを演出

ジョジュ「刑事さん、ここからは私に任せてください」
疋田刑事「いや、もう片付いてるよね」
ジョジュ「息子さん、あなたには共犯者がいるわ。それも今まさにここにいる」
テレビの音声「私じゃないわよ。私何も知らないもの」
ジョジュ「そう、あなたじゃない。だってあなたはテレビドラマ」
疋田刑事「テレビ消しとけよ」
宅配業者「言っとくけど僕じゃないっすよ。僕関係ないですから」
ジョジュ「もちろん、あなたでもない。あなたは今来た宅配業者」
宅配業者「あの僕サインもらいに来ただけなんで」
疋田刑事「入ってくんなよ。人死んでんだから。行けほら、帰れ」

今まで提示されていないものが事件の核心であってはいけないというミステリーのお約束を演出

ジョジュ「犯人はそう、あなたたち三つ子よ」
孝太「な、何を!」
孝大「確かに僕らは三つ子です。しかしそれが何だって言うんだ」
考太「根拠を示していただきたい」
陸(三つ子で共犯したんでしょう)
ジョジュ「三つ子ならアリバイ工作も訳ないはずよ」
孝太「だから僕らにはそれぞれアリバイがある。僕はその時間会社に行っていた」
孝大「僕はジムに行っていた」
考太「僕は行きつけのバーに行っていた」
疋田刑事「どう考えても怪しいだろ。三人とも同じ顔なんだから。君らのうち誰か一人が会社とジムとバーへ行ってこの三人分のアリバイを作る、その隙に残った二人が家に帰って両親を殺す。あんたらが犯人だよ」

息子が一人と見せかけて実は三つ子だったという映像叙述トリックの種明かし。
余談ですが「かんがえた」は面白すぎ

(中略)
ジョジュ「私にはかつて姉がいた。事あるごとに比べられいつも悔しい思いをした。だけどその姉は何者かによって殺された。たった一人の姉だったのに。ずっとずっと一緒にいたかった」
陸(あのさ、殺されたって言わないでよ。私はこうしてずっとそばにいるんだから)
ジョジュ「そうだよね、陸お姉ちゃん」
疋田刑事「君はずっと誰と喋ってるんだ」

今まで視聴者に見えていた陸の姿が映像叙述トリックであり数年前に殺されたジョジュの肉親が陸とわかる。当然こちらが本命の叙述トリックであり三つ子ネタは捨て石なのが巧妙